成年後見制度とは

成年後見制度は、「法定後見」「任意後見」の2つの種類に分けられます。

「法定後見」とは・・・

認知症、精神・知的障害などにより判断能力が不十分な方を保護するため、家庭裁判所から「成年後見人等」を選任してもらい、本人の財産管理や各種契約のサポートをするための制度です。

判断能力の状態により、「後見」「保佐」「補助」の3種類に分類されます。
事案にもよりますが、申立から審判までにかかる時間は約3〜6ヶ月ほどです。

 

※おおまかな判断基準は次のとおりです。
  後見・・・常に判断能力が欠けている状態の方
  保佐・・・判断能力が著しく不十分な方
  補助・・・判断能力が不十分な方

 

※主に法定後見制度が利用されている場面です。
  ○認知症で施設に入っている親の財産管理をしたい。
  ○遺産分割協議をしたいが、相続人に知的障害を患っている親族がいる。
  ○一人暮らしの祖母が訪問販売で必要以上に買い物をしているようだ。

 

※成年後見人が選任されると・・・・
○法定後見開始の旨が東京法務局にて登記されます。なお、本人の戸籍謄本への記載はされません。
○本人は選挙権を失います。また、会社の取締役や医師などの一定の資格を要する職業につけないといった制限が生じます。
○本人の全財産は家庭裁判所に申告されるので、以降は親族といえども勝手に預貯金・不動産等、本人名義の財産の処分はできなくなります(なお、成年後見人が本人名義の居住用不動産の賃貸や売却をする際は、家庭裁判所の許可が必要)。
○本人は、財産に関する法律行為や財産管理ができなくなりますが、日用品の購入やその他日常生活に関する行為は、単独で行うことができます。
○成年後見人は収入と支出を記録し、家庭裁判所に報告する責務が生じます。

 

「任意後見」とは・・・

今現在は判断能力に問題が無い方が、将来判断能力が低下した時のために、事前に将来の「任意後見人」を選び、財産管理等の代理権を与える旨の契約を締結しておくといった制度です(契約締結時点では、任意後見受任者)。「法定後見」と違い、本人の意見や希望等を契約内容に盛り込むことができます(ただし、すべての意見等が認められるわけではありません)。

なお、契約を締結する際は、公証人役場での公正証書作成が義務づけられています。

 

・主に任意後見制度が利用されている場面です。
○将来、認知症になったときのために、財産管理などの詳細を今から決めておきたい。

 

・任意後見受任者が選任されると・・・・
○東京法務局に登記されます。


※任意後見契約後、本人が認知症となった・・・・

○任意後見受任者や親族等が、本人の同意を得て、家庭裁判所に対し、任意後見事務を開始する必要が生じたため、任意後見人を監督する任意後見監督人を選任してもらう旨を申し立てます。
→ 任意後見受任者から任意後見人となる

○任意後見人は、任意後見契約の内容どおりの財産管理等を行います。

○任意後見人は、任意後見監督人から、その遂行する任意後見事務の状況のチェックを受け、家庭裁判所に報告されるため、法定後見と同じく家庭裁判所の監視下で仕事をしていくことになります。